羽織はもともと、羽織、袴が礼装の男性用として使用されていました。しかし、明治頃になり、女性の服装の制限がなくなり、防寒やほこり除けとして、普及し、今もなお、女性の場合、礼装用としてではなく、あくまでもお洒落着として使用されていることが多いようです。羽織の種類についてご説明いたします。
■絵羽羽織・・・絵羽付けされた羽織のことをいい、手描き染め、刺繍、絞りなどの加工技術を用いて模様付けされます。黒地に絵羽付けをされた黒絵羽を、入学式、卒業式に用いることが多くみられます。※色絵羽織・・白生地を仮縫いし、縫い合わせ部分も文様が繋がるように染めることを絵羽染めといい、この文様のことを絵羽模様といいます。
■絞りの羽織・・・仔鹿の背中に似ている様から、鹿の子と呼ばれ、田んぼの稲を刈りあげた後にも似ていることから、疋田絞りとも呼ばれています。洗い張りがききませんので、汚さないようにお洒落を楽しみたい品です。
■色無地の羽織・・・染抜き一つ紋もしくは縫い紋を付けて使用します。綸子、縮緬、御召、紬などの生地が使用されますが、場所に合ったものを着用するよう気をつけましょう。
■小紋の羽織・・・小紋柄の羽織です。無地の着物や上等な紬の着物と合わせて着るとお洒落感が増します。友禅染め江戸小紋など、個性が生かされる羽織です。
■単衣の羽織・・・絽や紗を使用した夏用の羽織です。夏用ですので、夏らしく涼やかな柄や色を選ぶのがお勧めです。
■茶羽織・・・防寒とお洒落を兼用した羽織であり、主に家庭内で着用するものをいいます。茶人の十徳(昔の上着)を真似して作られたところから名づけられたそうです。
羽織の紐の色は通常、正装の場合は白色のものを使用し、お洒落着の場合は、色物を使用します。着用のシチュエーションによって、注意しなければなりません。着物か羽織の色の中から一色を引き出すことが多く、逆に反対色を用いることもあります。紐のつける位置も、高すぎたり低すぎたりしないよう気をつけましょう。