■着物をしばらく着ないとき
着物をしまったままにしておくと、湿気を帯びてカビや虫がつきやすくなったり、片山や縫い目などにほこりがたまって地色が変わる恐れがあります。着る機会の少ない着物には、年に1~2回は虫干しをして、風を通すことで長持ちさせるようにしたいものです。虫干しには空気が乾燥している10月や、1~2月の聖典の日の午前10時から午後2時頃までが適しているといわれています。直射日光の当たらない室内で、着物をハンガーにかけて風に当て、ほこりをブラシで払います。虫干しをするような広い場所がない場合は、着物を収納している引き出しを、1日開けておくだけでも効果があります。
■着物収納向きの防虫剤
防虫剤には着物に向くものと向かないものがあるので、成分表示や使用上の注意をよく読んでから選ぶことが大切です。着物に適しているのは、ピレスロイド系のシート状になったものです。このタイプは匂いがなく、金、銀、箔を使用した着物にも安心して使うことができます。違う種類の防虫剤を使用すると、化学変化を起こし、溶けて着物を汚してしまうこともありますので、十分に気を付けましょう。特に補充するときには、それまで使っていたものと同じタイプのものを選ぶことです。防虫剤はたとう紙の中ではなく、着物や帯に直接触れないようにして、たんすの引き出しの四隅の、一番上にのせます。下に入れると、薬剤のガスが下にたまってしまい、全体にいきわたりません。3~4カ月に一度は確認をしましょう。
■傷んだ草履の修理法
草履は、底とかかと、天(草履の台)と鼻緒の取り換えができます。鼻緒がきついとか、ゆるんでしまって履きにくい場合は、交換せずに鼻緒の調節をしてもらいましょう。どちらも履物の専門店で受け付けてくれます。
■着物を染め直す
昔の女性は、現代人が洋服を新調するように、年齢や目的の変化に合わせて、着物の染め直しを行いました。染め直しができるのは、無地、小紋、付け下げ、訪問着などの後染めの着物や、白大島、薄い色の紬、お召の一部です。後染めの着物はいったん白生地に戻してから染め直すので、自由な色柄が選べます。また、紬やお召など色抜きに難しいものは、色抜きせずに染めることが多いようです。