■朱色
朱色とは、黄味を含んだ鮮やかな赤色のことを言います。かつては赤色の絵具の最高の色を「朱」と呼んでいたそうです。朱肉の色、書では朱墨をすって朱書きをするなど、日常生活において目にする機会の多い朱色は、皆様もイメージしやすい色ではないかと思います。
朱は権威の象徴の色ともされており、古墳が発掘されると貴族の傍らには朱があるとも言われています。純粋な朱は、水銀と硫黄の化合物なので防腐作用があるとも言われています。
古来から中国では朱の護符を厄除けとして貼るという風習があったそうです。それが日本にも伝わり、現代では護符は少なくなりましたが、証書や書類には権威を示し保証する朱印が使用されているのです。
■紅
紅とは、紅花を原料にして染めた色のことを言います。江戸時代の京紅は口紅の京土産として喜ばれましたが、今も見かけるように紅猪口と呼ぶ小皿に紅を塗ってあるもので、大切に扱われたと言います。日本では「紅白」という言葉が広く浸透していますが、日本の祝儀には「白と紅」「金と銀」または「金と紅」を組み合わせて使います。欧米ではお祝いの装飾には銀色を用いることが多く、金糸は使いません。日本では反対に、銀色一色の水引というのは不祝儀用でお祝い事に用いては失礼にあたります。