●本塩沢の特徴について
一番は着心地の良さです。さらりとした風合いで、通気性が良くこしの強い生地は最高の着心地を楽しむことができます。また、全工程が手作業によるもののため、精巧な絣模様ができます。さらには通称産業大臣指定伝統的工芸品と認められています。
●産地について
新潟県南魚沼郡塩沢町および六日町です。この地域は、一年間のうち、11月末から5月中旬まで約半年間積雪があり、1月中旬から3月初めまでは約3メートル以上の雪が降るそうです。その間、この厳しい風土により、人間性を忍耐強くし、30以上もの根気のいる製織作業を支えているといわれています。古くは麻織物の産地で奈良時代より前から織られていたと推測されていますが、その頃に織られた麻布が奈良正倉院に保存されているそうです。1200年以上ある織物の歴史です。
●品種について
塩沢の産地が作るものは、『本塩沢』『塩沢紬』『夏塩沢』『越後上布』の品種があります。『本塩沢』は生糸を使用し、御召地風の単衣・袷着物があります。『塩沢紬』は、紡ぎ糸を使用し、紬地風の単衣・袷着物があります。『夏塩沢』は、生糸・玉糸を使用した、紗織りの夏着物があります。『越後上布』は、麻糸を使用した、平織りの夏着物があります。
●本塩沢の織りについて
主に使用する糸は紡ぎ糸ではない、生糸です。緯糸(よこいと)に強い撚りをかけて、織り上がった反物をお湯に浸してもみ、撚り戻しの原理を利用し、しぼの風合いを出します。織り上がりの巾を、女物の場合、1尺1寸5分(約43.5cm)~1尺2寸(約45.5cm)で織り上げ、湯もみにより糊を落とし、しぼを出し、製品寸法の9寸8分(約37cm)~1尺(約38cm)の巾に仕上げます。
●絣模様について
経糸(たていと)の絣と緯糸(よこいと)の絣を手作業により柄合わせをして、絣模様を織り出します。主に亀甲絣や十字絣があります。絣作りには『手くくり』『手摺り込』『板締め』の技法により、使用する経緯糸の本数により、絣の細かさに段階があります。
絣ひとつひとつに込められた思いを大切にして、塩沢の着物にお袖を通してみるのも良いですね。